皮膚と健康

健康な肌

 

皮膚には人間の体を安定した状態に保つ防御機能があります。

①外界からの刺激を防ぐ役割
皮膚は内臓を守るために、外からの水、微生物、化学物質などの刺激や細菌の侵入を防ぎ、また紫外線からも守る役割を果たしています。この体内に異物が入るのをブロックする働きがバリア機能です。

②体温を一定に保つ働き
もともと皮膚は熱を通しに性質があり、暑さや寒さから身を守る働きをしています。暑くて体温が上昇したときには汗を出したり、毛細血管を開いて熱を放出したりして、体温を下げ、体を正常な状態に保つ役割を果たしています。

③感覚作用としての働き
皮膚には、いろいろな神経の末端が分布しています。硬いものや柔らかいもの、尖ったもの、熱いもの、冷たいものなど、身体に影響や危険をおよぼすものの感覚器としての役割を果たしています。

④分泌作用としての働き
皮膚から分泌されるのは、皮脂と汗です。汗の役割は体温調整がほとんどで、肌が乾燥したときに水分が蒸発しないよう、皮膚は皮脂を出す役割を果たしています。分泌された皮脂は皮膚表面で皮脂膜となり、皮膚のうるおいとなめらかさを保つ働きをします。

 

皮膚は「表皮」「真皮」「皮下組織」の3層からできています。

 

◎空気に触れる、いちばん外側の層が「表皮」です。表皮は外的な刺激から体を守る役割を果たしています。

 

◎表皮の下には「真皮」があります。この層には血管、リンパ管、神経、皮脂腺、汗腺などがあり、汗や皮脂の分泌、栄養補給を行っています。また真皮は繊維状のコラーゲンとエラスチンからなっており、お肌の「ハリ」や「弾力」は、この層によってもたらされています。

 

◎皮膚の最下層は「皮下組織」です。主に脂肪でできており、外部の温度変化や衝撃から体を守っています。

肌の美しさを決める表皮

肌のうるおいやキメを左右しているのが表皮です。

 

◎いちばん下層の「基底層」は、角化細胞(ケラチノサイト)を作り出す、いわば細胞生産工場です。この基底細胞の間にはメラニン色素を生成する細胞、色素細胞(メラノサイト)があります。

 

◎その上が「有棘層」で、表皮の中で最も厚い層です。細胞と細胞の間をリンパ液が流れ栄養補給しています。アレルギーを感知するランゲルハンス細胞も有棘層にあります。

 

◎有棘層の上が「顆粒層」で、紡錘型をした1~3層の顆粒細胞からできています。紫外線を反射させたり吸収したりもします。また、体に危険な酸・アルカリを中和して皮膚の防御もしています。

 

◎いちばん外側の細胞が「角質層」で、この角質層こそ肌バリア機能の主役ともいえる層なのです。角質層は厚さ0.02mmです。硬いタンパク質でできた角質細胞が、10~15層に重なって構成されています。化粧品が、その機能で働きかけることができるのは、この角質層までといわれています。角質層は肌のうるおいを保つ重要な役割を果たしていて、しっかりとした角質細胞をつくることや壊さないことで、肌のうるおいを保っています。