アレルギーの原因

アレルギー性の悪影響については、まずアレルギーの原因となる物質を明らかにすることが先決で、それが判明すれば、それを防御するために保湿・保護性の強い化粧品を利用することが解決手段のひとつです。「非アレルギー性反応」「アレルギー性反応」は、どちらも化粧品による刺激というのが原因のひとつに挙げられています。

 


それら発生機構の全貌が解明されたわけではありませんが、今すぐにできることは、紫外線やアレルゲンを侵入させない、健康なバリア機能を維持することです。

 

●硫酸系洗浄剤で肌に起こるアレルギー

炎症をおこしやすい肌には2タイプあります。紫外線、化粧品、洗剤、温度、湿度の変化など、外部からの刺激に反応する「敏感肌」と、ダニ、カビ、金属、化粧品、花粉など、アレルゲンに反応する「アレルギー性肌」です。いずれにしても、炎症を起こしやすい肌はバリア機能が弱まっています。

皮膚のバリア機能を低下させてしまうのは、硫酸系やスルホン酸系のシャンプーです。本来皮膚は、バリア機能が働いており、外からの物質の侵入や水分の蒸発による皮膚の乾燥を防いでいます。しかし、硫酸系洗浄剤を使うことで皮膚はタンパク変性を起こし、皮膚のバリア機能が弱まってしまいます。すると、外からの異物や刺激が容易に皮膚の中に侵入しやすくなります。

アトピー性皮膚炎と並び、近年、多くの人を悩ませている花粉症もアレルギー性反応のひとつです。花粉症を引き起こすアレルゲンであるスギ花粉などは、目や鼻の粘膜から侵入します。硫酸系のシャンプーを使えば、肌のバリア機能は低下し、同時に目や鼻の粘膜の
バリア機能も弱っていると考えられます。

●アミノ酸系洗浄剤はアレルゲン

アミノ酸は人体の構成成分のひとつです。アミノ酸系洗浄剤は肌にやさしいというイメージがありますが、皮膚に含まれるアミノ酸を使用しているため、肌や頭皮に吸着しやすい危険性があります。吸着すれば、皮膚は炎症やかゆみを引き起こすことがあります。

アミノ酸系のなかのグルタミン酸系、アラニン系、グリシン系の3つは、硫酸系洗浄剤よりもさらに強い刺激があることがわかりました。また肌のバリア機能を破壊することがわかりました。

 

アミノ酸系シャンプーは、その性質上、泡立ちが悪く洗浄効果が低いという問題点があります。これをカバーするために、刺激のある硫酸系洗浄剤を配合したり、数種類のアミノ酸洗浄剤を大量に配合したりしているものも少なくありません。

アミノ酸シャンプー危険
モアコスメティックス論文

 

<以下論文より一部抜粋>
5 %濃度のラウレス-3酢酸リシン、ラウレス硫酸ナトリウム及びラウロイルグルタミン酸ナトリウムを暴露した細胞生存率はそれぞれ 82.0 %、45.0 %、19.1 %だった。ラウレス-3酢酸リシンは全ての条件において最も細胞生存率が高かった。アミノ酸系界面活性剤は、硫酸系界面活性剤よりも細胞生存率が低かった。3つの検体の中で、ラウロイルグルタミン酸ナトリウムが、最も皮膚刺激性が高い結果となった。

(中略)これまでに、ラウレス硫酸ナトリウムの刺激性については明らかにされている [5]。ラウレス硫酸ナトリウムは低刺激として広く使用されている。 しかし、今回の試験において、強い刺激性があることが示され、パッチテストも行うべきではない。また、アミノ酸系の洗浄剤についても、今回硫酸系以上の刺激性が確認された。近年、アミノ酸系の洗浄剤は低刺激とうたわれ市場にも多く出回っている。そのため、全般的なアミノ酸系洗浄剤の刺激について確認する必要がある。


[5].Mehling A, Kleber M, Hensen H (1975) Comparative studies on the ocular
and dermal irritation potential of surfactants. Food Chem Toxicol 49:747–758