「界面活性剤」がすべて悪者と誤解され、安全性を考慮して「石けん」を使用されている方がおられるかもしれません。
石けんは脂肪酸系と呼ばれるアニオン(陰イオン)界面活性剤です。
石けんは確かにやさしい界面活性剤ですが、そのやさしさは十分とは言えません。タンパク変性も起こすし、24時間つけっぱなしにすれば皮膚刺激にもなります。
さらに、石けんカスを生成するため洗濯機の使用もできないし、その石けんカスは分解されずに河川や海に流されます。
体を洗ったときには肌にしっとり感やさっぱり感をもたらしてくれる石けんカスが、髪を洗ったときにはきしみ感を
発生させてしまいます。また石けんカスで髪のツヤが悪くなります。
石けんカスが出ることは、石けんの構造上の問題です。石けんは髪の毛を洗うのに適していません。
長い歴史を持つ石けんが、近年の大量製造の事情によって危険なものに変質するという問題が発生しています。これは、機械を使って短時間で強制的に乾燥させた石けんには遊離アルカリが過剰に残ってしまい、それが肌刺激となってしまうという問題です。
苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)は、石けんづくりに欠かせない薬品ですが、劇薬指定されている危険な薬品です。石けんは、この苛性ソーダと油脂を反応(ケン化)させてつくります。このとき、油脂と反応せず、そのままの状態で石けんに残留する物質が遊離アルカリです。劇薬の残留物ですから、肌あれなどの問題が生じる危険性をもっています。
本来は未反応のアルカリ分、不純物などはていねいにとり除かれ、乾燥・熟成されなければなりません。